小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

ファイブスター物語/FSS/F.S.S.:8〜9月号のレビュー、ちょっとだけ

 自分はなんていうか、書かなきゃならないものがある時にはそのネタは思いつかず、ネトゲとか別のことをやってたり、別のネタをガガガーっと書いてたりするんですよ。今まで色々設定本で書かれてきたことが本編でバンバン出てきてるのに全然書けない……ちょっと辛いです。まあ、その出しっぷりがハンパないからどこから手を付ければいいか分からないというのもありますが。
 ◆星団歴56億7千万年∞
 ナガノセンセが「どこかで」コメントしてたと思うんですが…… 「人(または人類)は、DNAに記録されている情報にそって生きている」みたいなことだったと思うんですけれど。うーんうーん、どこに載ってたか思い出せないんです。さっきまで付録やらキャラクターズ等の本をひっくり返してみたんですけど見つかりません。自分の思い込みや記憶違いであったなら申し訳ありません。
 さておき、予告通りタイ・フォン登場しました。彼女が見守っている無数の光……かつて存在していた人、今生きている人、これから生まれるであろう人……全ての人の情報をタイ・フォンは見守ってきたのでしょうね。2chの本スレで「映画マトリックスのような?」という書き込みがありましたが、似ているかも知れません。マトリクスの中で活動している人をモニターするシーン、グリーンの文字で表されるコードが上から下へと明滅しながら落ちていきます。それを見つめるネオにサイファーは言います「プログラムで画像に翻訳することも出来るがマトリックスの情報量は膨大でそうもいかねえ。すぐ慣れるさ。もうコードには見えねえ。俺の目にはブロンドにブルネットに赤毛だ」と。タイ・フォンも、もしかしたらあの光が示す情報の中身を読み取る力があるのかも知れませんね。
 数々の神話の中には「天の御柱」とか「ユグドラシル」のような、世界や宇宙の中心のような存在がありますね。エドガー・ケイシーによって一気に有名になった「アカシックレコード」が、タイ・フォンがいる場所に近いのかなと個人的に思います。(参考:「アカシックレコード 2 アクセスと性質:ウィキペディア」)
 L.E.D.の幻影は言います「精神は4次元を超え永久なれど 物質は3次元において有限なり」「あわれ 時を制覇せぬ者 あわれ 永久の苦業を生きる者たちよ…」精神のみ4次元と3次元の間を行き来できる存在はセントリーや超常の存在だけなのでしょうね。でも凡庸である人間はたった一度きりの人生しか歩めません。人間の肉体の中に「物質以外のもの」があるとしても、「記憶」を抱えている「魂」はレテ川の水に代表されるような「死の境界線を越えること」によってフォーマットされてしまうため、再びその魂が3次元に降りて新しい肉体に宿ったとしても、前世の記憶が無い状態なのだと自分は考えます。ただ、「魂」以外の何かが「アカシックレコード」のようなものに繋がっているか、人間が知らない間にそういう存在に「記憶」をバックアップしてるとしたら? タイ・フォンがいる空間の光は、そうやって集積された、通常の人間ではアクセスできない「記憶/記録」なのでしょう。そして、時折現れる「人間ではあるが凡庸ではないヒト」が、それらの「記録/記憶」の集積場にアクセスできるのかも。それが炎の女皇帝であり、ラキシスもそうなのかも? そして、アルセニック・バランスの願いからタイ・フォンが生まれ、アクセスどころか観察者にまでなっちゃったのかなというのが、今の段階での自分の感想です。「私の役目……モナークへの到達 そしてそのデータの吸収……」というタイ・フォンのそのセリフからそう感じました。
 ですが、タイ・フォンは続けて言います「それらは終わり 今 私は本来のAFに戻り本能に従います」と。そして、リブート・コール。タイ・フォンは居場所や立場を変えますが、「観察者」であり続けると思うのです。GTM「ウー・シング・ウーユー(五星物語/ファイブスター・ストーリーズ)」を持ち、カイゼリン・クオーツになることで半永久の寿命を持つ炎の女皇帝のパートナーとなることは、イコール、「人間レベルにおけるジョーカー世界」に大きな干渉をしないものの、ジョーカー世界を見守り、時に守護者となるであろう炎の女皇帝の傍らにあって、ジョーカー世界を観察する存在となるからと自分は考えます。「観察者」というベースフォーマットは変わらないものの、立場と居場所は変わる。それゆえ、彼女自身は再起動した、いや、再起動が必要だったのかなと。

 ◆希望
 単行本8巻188pのアトロポスのセリフ。
 「未来が…… 決まっていてたまるものか……」
 9月号で、8月号の終わりのシーンを夢として見たムグミカの気持ちも同じようなものだったのではないでしょうか。苦難はあれども、人類文明は続いて欲しいと。そして、その文明が希望と幸せを大切にするものであって欲しいと。だけど、カタストロフィのようなものがあるかも知れないし、天照帝やラキシスという「人間があれこれ干渉できない超常の存在」がそういう未来への願いに影をさします。ならば、詩女の願いを抱いて時の流れを下っていく存在を立てることで、少しでも良い方向に向かうことはできないだろうか、というのがムグミカの考えなのかもと自分は考えました。タワー。人が幸せを願い、希望を胸に抱いて祈る時……シンボルのようなものの前で祈ることがありますよね。タワーという名前はそれにあやかってもいるのでは? と、ふと感じました。
 タワーは天照帝に服従するとありますが、9月号のタイトルページを見るに、多分、宇宙レベルの超ブッコワレとかはやらないでねーレベルの話ではと。ザ・ウィルが攻撃を受けて大ピンチでも「他の皆さんでヨロシクやって頂戴ネ」って感じでマイペースを貫きそうな予感です。
 あと、タワーのパワーゲージ、6つの項目になってますが……なんかやらかしてますね、センセ。詳しくはデザインズ4迄待てということでしょうか。

 ◆今の地球の技術では解明出来ないヨ、というレベルの話
 上に書いたセンセのコメント探しでアレコレ見てるうちに、ナイトフラグスの終わりの方のページ(ブルーのスーツのフォーカスライトが載ってるページ)にあるアウクソーについての文章を読んで気づいた事がありました。

 ファティマ達の強力な生命力は遺伝子レベルで解析できる物ではない。(中略)ゲノムの基本配列やそれ以降の後天的情報投与のレベルがわれわれの世界の想像を超えているであろうから、あまり現地球の遺伝子工学とつき合わせて考えることはナンセンスであろう。
 (中略)
 だからこのアウクソーにしても「複合化情報素子を併用した遺伝子であり、その応用としてアウクソーとフォーカスライトという複数の情報体の混入に成功した」ということなのだろう。

 ナイトフラグスはデザインズに掲載されていない情報がかなりあるので、興味があり、手に入れる事が可能であればお手元にと思う本です。
 さて、アウクソーの現状について9月号で「精神崩壊もしていない、演算機能も正常… GTM感応領域のみがなんらかの理由で停止している」というのが判明しました。それ以前の話の流れや、8月号での「GTMのコントロール能力を完全に失っている」というミースのセリフから、もう少し深刻な症状かと思っていたのですが。しかし、GTM感応領域というのがパワーゲージの5つの要素の中の「MH制御能力」つまり、単行本11巻巻末206pにある「MHを制御する能力のことでファティマのメインスキルでもある。MHの信号による会話、意思疎通などに加え(以下略)」ならば、これが機能停止しているならばファティマとしてのメインスキルを封じられている=ファティマじゃないという桜子のセリフは正しいことになります。ここでも、ここしばらく自分が書いている「ファティマとは兵器である」という点が強調されているように感じます。ファティマの本分、兵器として生まれた最大の目的は「騎士がGTMを操縦するのを補佐する」こと。単行本10巻100pでもバーシャが言っていますね。「騎士とファティマにとっていちばん大切な事はMHで戦うこと」だと。日常家事は人間でもできるのです。国家や騎士がファティマに求めているのは、美しい奴隷ではなく兵器としての機能であり、兵器としての役目を果たせないファティマは、騎士に限りなく近い能力を持っているが、維持す為には色々と気を遣わなければならなかったり費用がかかりすぎる生き人形でしかない、廃棄する他ない、ということなのでしょうね。残酷ですが、兵器としてファティマを見るならそうなります。しかし……アウクソーの肉体の中には貴重なフォーファッティスの一人であるフォーカスライトの存在があります。そして、前回も書きましたが、ガーランドとしての想いもあります。あの場に集まったガーランドが悩むのも無理はありません。特にミースは。
 そんなガーランド達にツバンツヒは「感情は横に置き、研究者として冷静になれ」と釘をさしてます。原因をしっかり調査すべき対象を安易に扱ってはいけないと。冷静に分析することで、それまでガーランドが知り得なかった「領域」が見えるのではと。後で「知るということに対して貪欲すぎる」と彼女にモラードはチクリとヒトコト言いますが、知識を求め、新たになにかを創ることを止めてしまったとき、研究者……いや、何かを創る人、いや、普通の人であっても学ぶ心を忘れてしまったなら、そこで色々な事が止まってしまうと自分は考えます。「想定外の事態」をイレギュラーとして切り捨てるのでは無く、そこから学び取ることは何かないかと動くこと……動き続ける事、それが生きる事の一つではとも。

 疲れたので一休み。