小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

(読み直し編)

夏の闇(開高 健)
 私にとって開高先生はこころの父とでも言うべき存在。高校時代に読んだ「風に訊け」で、「っぅうわぁなんてスゴイんだよ!」と驚き、それ以来こつこつと図書館でエッセイなどを借りたりしてました。ここ数年は古本屋などで文庫本を集めたりしてます。ハードカバーはもう我が家の本棚には負担この上ない状況なので買うことはできなくて。

 この作品、なんか今の私の怠惰というかドロリとした暮らしと重なる部分が一部あって胸にグッとくるものがあります。個人的に、開高先生はエッセイなどでは飄々とした語り口で読者を楽しませ、いろいろな知識を示してくださると思うのですが、小説では濃密緻密繊細・・・みっちりと詰め込まれた濃い世界というか、隙がないというか・・・・。軽く読み流すことが出来ないという感じですね。
 デカダンスっていうカッコのいい言葉じゃない、ヌルッとした、まるでエアコンのない都会の四畳半の部屋で夏の午後をうだうだと過ごしている感じに満たされている、そんな小説だなと思います。主人公のパートナーの女性のすっくとした性格や行動が逆に主人公のものうげさを強く印象付けている部分も感じますね。
 今のところ半分ほどちびちびと寝しなに読みながら、今の自分のジクジクとした膿に満たされたこころに刺さる感じを被虐的に楽しんでいるのかな。やっぱだめだわ、私って。