小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

世事多事:<人権擁護法案> 罰則は?

さて、上の文を書き終えたら旦那が戻ってきて、咳き込みながらこの話をしていたのですが、実際、罰則の話はどうなんだろうということで法務省のサイトを検索。様々なサイトで色々取り上げられているものの、具体的なコレというものが掴めなかったので、やはり本家本元で調べるのが一番ということで。
法務省サイト内の参考リンク集
 ・平成14年3月8日,第154回国会(常会)に提出した「人権擁護法案
   *法律案要綱  *法律案
 ・人権擁護局サイト
   *人権擁護法案に関するQ&A
 ふむ・・・まずはこれを読んで落ち着きましょう、って思いますね。

 以下、各条文は上記リンクの「法律案」より引用しています。さて、この法案のポイントはここかな・・・と個人的に思ったところはこちらです。

(人権侵害等の禁止)
第 三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
(中略)
  二  次に掲げる不当な差別的言動等
    イ  特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
    ロ  特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動
  三  特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待
2  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
  一  人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為
  二  人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為

 これらの点が多くの方々の間で問題になっていると思います。ではこの法案における罰則はどうなっているかといえば

      第七章 罰則
第 八十七条 第十三条第一項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第 八十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。
  一  正当な理由なく、第四十四条第一項第一号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して出頭せず、又は陳述をしなかった者
  二  正当な理由なく、第四十四条第一項第二号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して文書その他の物件を提出しなかった者
  三  正当な理由なく、第四十四条第一項第三号(第七十条又は第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
  四  正当な理由なく、第五十一条(第七十一条第二項又は第七十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による出頭の求めに応じなかった者

 とあります。八十七条は「人権委員会の委員が職務上知り得た秘密について漏洩した場合」の罰金であり、八十八条の項目については、

第 四十四条 人権委員会は、第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。
  一  事件の関係者に出頭を求め、質問すること。
  二  当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。
  三  当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。

 という、人権委員会の調査がきちんと行われることを進める目的で作られたのではと私は感じます。が、確かにこれを盾に強気で調査をすることも可能になり、そういう意味では微妙かもと感じます。
 罰則は以上であり、この法案において大切なことは罰を科すことではなく、問題を調査し、問題解決のために仲裁や調停を行うことであると私は感じます。三条に反した行いがあったとしても、まずは救済手続がすることが大切であり・・・つまり、2chでよく見る話としては、指摘された書き込みが削除されたりということを行うことが大切であって、じゃあ誰が書き込んだかということを探して罰するということはこの法律で云々するという感じには私には感じ取れませんでした。
 また、多くのサイトで取りざたされている、「罰則として個人名などを公表する」という話ですが、この法案には盛り込まれていないようですけれども、一体どういう課程で出てきた話なのかは法務省のサイトをちょっと見ただけではわかりませんでした。もし、審議会などでこの「個人名などを公表する」という点が取りざたされたということを、法務省衆議院などの公の機関のサイトで触れたコンテンツがあるのをご存じの方がいらしたら教えて頂きたいと思います。