小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

盧生之夢:破顔、苦笑、そして落涙

 4日の20時過ぎ、お茶を入れたり等台所でがさがさしていたら、旦那が「を」っと言ったので何かと思ってTVを見ると・・・
 「えっ、開高先生・・・」
 我が目を疑いました。BS−iで「悠々として急げ・開高健の大いなる旅路―スコットランド紀行―」をやっているではないですか。しかも今これを書いている時にBS−iのサイトをみたら開高先生の同行取材番組が再放送されてるしっ! と、とにかく直前までやりかけていたことを全てほっぽり出してTVの前に座布団敷いて見入りました。本では全て伝わってこない部分、細かな仕草とか言葉とか、そういうところが改めて確認できて・・・ああっ、事前に分かってたら録画したのにっ、と悔しい思いをする一方、まるで懐かしい人に久方ぶりにお会いしたような喜びで、「TVにかじりつき」という感じでしたね。
 番組の内容についてはリンク先をご覧になっていただくとして、釣り人ならではの「黙として待つ」ことの部分・・・ キャスト、キャスト、キャスト・・・・それなりの大物がしぶきを上げて跳ねるのを目にしても、竿はぴくりともしない。キャスト、キャスト、キャスト・・・ この繰り返し、いらだち、あきらめ、でもまた川に立つ。その部分というのが、文章とはまた違った感じで伝わってきました。そして、先生の豊かな表情。うれしいときの目、厳しい目、何かを探す目、面白そうなものを見つけた時の目、黙として内にこもっている時の目・・・いろんな目も。
 同行取材番組としては最後のものにあたるため、番組の最後の方では涙ぐんでしまいましたね。
 私は釣り人にはなれないかもしれないけれども、親父と子供の頃投げ釣りに行ったりして釣りの楽しみというものはちょっとかじっていたりしているものですから、アタリが来ない間じれったいけれどじれてはいけない、黙として待つこと等、そういうシーンの時にはぐっとこみ上げるものがありました。そして、「内にある、何らかの傷のために、釣りをする」とかそういう所でまたぐっときたり・・・ っつかもう、言葉にできないな、うん。胸がいっぱい。
 ってことでもしかしたら先生の他の番組も再放送されるかもしれないんで、しばらくの間BS−iのサイトをチェックしないとね。