小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

(新規購入編):多分当時身近にいたら、付き合ってしまっていたかもしれない、と感じた・・・

★「真剣師 小池重明」 団鬼六著 幻冬舎アウトロー文庫
 ブックオフに久々に行くことができたので、さてさてと腕まくりを・・・実際はしませんが、気持ちとしてはそういう感じで文庫コーナーに突撃。開高先生のは全くなくてがっくりしてたんですが、気を取り直してずいずいっと見ていくとこの本が。以前、団先生のインタビューを読んだときにピンときて、この本は読んでみたいと思っていました。
 で、実際読み始めてみるとぐいぐいと引き込まれてしまいましたね。なんっつか、やっぱ私はアカンのだわと。まともな人に魅力を感じないっていうのかな。私自身も、まぁいろいろと「もめ事を起こさないように」と心がけて生きているつもりなのに、ガンコで今の世間様とズレているところがあるからもめたりしてしまう。で、ある折にパートナーとして選ぶ男性について尋ねられたとき、「そうですね、まっとうで家庭人で無趣味で仕事きっちりこなす真面目なやつより、馬鹿で趣味に金つぎ込んで、アフォなこと言うてる方を選びますワ、私も馬鹿だし、馬鹿な人のほうが面白いじゃぁないですか」と。きまじめな人はなんか淡泊で深みがないと。まぁ話していくうちに人間何かしら味はあるでしょうから出てくるモノはあるかもしれませんが、つまらん。まあ、馬鹿やって疲れ果ててる所はあるけれども、でも自分自身の人生、全く無駄だったとは思いませんし。
 話がそれちゃいましたけれども、このところ10pほど読んでは休み、っていう超だらだらペースで本を読んでいた私としては珍しく、一晩で半分くらい読み込んでしまいました。この小池氏も典型的な破滅型の人のお一人だったのだと私も感じます。しかし、こういう「沈黙の勝負」の世界で生きる人というのは、なんかこういう破滅的な人が少なくないんじゃないかと。女か酒か薬かでボロになって、アイツはもうアカン、もう勝負でけんやろ言われたり、出てけみたいなこと言われたり。それでもなんやかんやあってやっぱり勝負の場に上がってくるみたいな。私自身はギャンブルはおろか将棋囲碁麻雀花札トランプ、役や点数等を覚えなきゃいけないものはからきし駄目で、とは言いつつも、沈黙の勝負を見るのは大変好きという迷惑きわまりない人間。細かいことは知りません。が、その場に流れる空気みたいなもの、対戦している人の表情や動作等々を見ているのが好きなんですよ。10年近くナマでそういう機会が無くて、まぁTVの麻雀番組程度なんですけれどね。実際に卓を囲んでる人にとっちゃ迷惑なだけの人間なんでしょうけど。
 この本でも、将棋の定跡等あれこれが出てきて訳わかんないというのはあるんですが、しかし人間模様っていう部分だけでもう、ずっしりくるものがあります。自分の中で飢えていた何かがあったのかな。おお、食ってる食ってるみたいな部分が。
 てなわけで久々に黙々とかっ食らっております。