小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

ファイブスター物語/FSS/F.S.S.:生き抜く。生き続ける。

 ◆花の道
 映画GTMを見た人達にとっては、11月号の見開きは本当に嬉しいものだったと想像します。自分も2ch本スレバレで知った時「おおぅ……」と思いました。実際NT11月号を手にして見開きを見たとき美しい! と思い、本スレのレスにあった「風を感じる」という書き込みに同意すると共に、ちょっとせつなさも感じました。
 12巻の終わりでクリスは「一人の女性としての花壇」に封をしてしまってますね。初陣でパニックになるも慧茄の導きで再び立ち上がり、ダイ・グの示す道を切り開く騎士として本格的に歩き始めた道……それの第一歩が、この、花一面の道というのは。そう考えるとちょっと、ね。
 クリスは騎士。戦いの中でいつ死ぬか分からない。彼女が今ラーンに向かって歩いている花の道は美しい。でも、その先の道は血と油と残骸と死体だけかもしれない。その中で生き残り生き続けることが、歩み続けることができるかが肝心。
 初陣の前にして震えるクリスにダイ・グは言います「死なば笑われるだけじゃ…… 屍につば吐く輩に良いように言われ陵辱されようぞ!! どんなぶざまな姿であろうと どんなみっともない戦いをしようとかまわぬ!! 敵を倒し! 生きてフィルモアに帰るのだ!! そなたの業を薄めるのは生還しさらに帝国に尽くすこと! それすなわち余の誇りなり!!」
 映画GTMのあのシーンが何年の頃なのかは分かりませんが、映画GTMのあのシーン。もう一度、ダイ・グとは違う皇帝とこの道を花の種を持って歩くクリスの胸中は…… 
 ◆セブンシーズ
 NT10月号のジーク母上のカテイガホーにあった雑誌の名前ですが、この雑誌はほぼ書店販売されてない、基本定期購読の雑誌でした。2009年に休刊になっています。中京地区に住んでいたときにお世話になっていた調剤薬局にこれが置いてあって、待っている間がっつり読むのが楽しみでした。「もうねー、この雑誌お気に入りで」と話したら、ご厚意でバックナンバーを何冊か分けて頂きました。すっごくうれしかったですね。雑誌の中身は、果てしなくラグジュアリー。数千万円のジュエリーや時計の写真が1〜2アイテムを1P丸ごと使って掲載されてたりします。だから細かい所までじっくり見ることが出来ます。それ以外にも様々なブランドのアイテムを身につけたモデルさんの写真、ゴージャスなリゾート地のステイ先の美しい写真がてんこ盛り。1Pや見開きで一つのシーンという感じでページの使い方が贅沢。兎に角、美しくゴージャスでいやらしくない、日常と離れた別世界を覗かせてくれる雑誌です。
 バックナンバーの幾つかは入手可能です。「SEVEN SEAS(セブンシーズ)  バックナンバー一覧 |【Fujisan.co.jp】の雑誌・定期購読」また、Amazon等でも中古本が入手できます。図書館には多分置いてないかも……分かりませんが。ちなみに敬愛する開高先生がこの雑誌創刊に携わっていました。そういう意味でも自分にとってお気に入りの雑誌です。今回、この雑誌についてヒトコト書こうとググって、2009年に休刊していたというのを知り残念に思っています。
 ◆男は度胸、女は愛嬌
 これも10月号の話ですが。クラーケンベールの豪快さというか、「ああ、こーゆー人柄だから支持されるのね」というのが分かるエピソードでしたね。ホウライの売り込みに来た幼いタイトネイブと「勝負で決めようか」と決めたりとかも。豪放磊落とは彼のような人物を指すのでしょうか。
 その一方、「ジョーカー世界の政治経済より、明日の天気予報が気になる」というような、ちゃあ。「う〜がるるるる〜」のコマ、めっちゃかわいいです。表情いいですねえ。天照帝やアイシャは、こういう風に笑ったり怒ったり、びっくりしたり、どぎまぎしたりするちゃあを大事に思っていて、そのままでいてね、政治や権力闘争とかごちゃぐちゃな世界とは無縁のまま、ナチュラルにのびのびと生きて欲しいと願っているのでしょう。そして、そういうのびのびとした快活な部分、それがクラーケンベールには心地よく感じ、彼らしく「おい、嫁に来んか?」とぶっちゃけた訳でしょうね。ところが思わず「何? なら処女か?」という超NGワードを発してしまったために、ちゃあ激おこ! 頭のプンプンッっていうがこれまたかわいい。
 多分、本来ならクラーケンベールは二人の素性に思い当たる節があったとしても「別に誰とて構わぬ」として、お手洗いから戻ってきたちゃあに「さっきは失礼。それでは達者でな」という展開になったと個人的に思います。しかし物語の進行上、ジークの事について代弁させるために10月号66〜67pの話があったと推察します。そ・し・て、ちゃあの「仕返し」によって明かされた驚きの事実。自分もびっくりでした。でも、無い方がいいというのは同意ですね。そして、ちっちゃなストラップを「記念に」と。
 「売られなくてもケンカしに行く」と言われるほどのメヨーヨ。搦め手で来るならクラーケンベールはそれなりの構えをするでしょうが、ちゃあのような無邪気な、春の風のような手法には肩をすくめ、あっぱれだと快活に笑う他ないさと。それがクラーケンベールの魅力なのでしょうね。今回の事で彼のファンは増えたのではと思います。度胸のクラーケンベールに愛嬌のちゃあ。良い勝負でしたし、二人とも良い表情でした。
 プロムナード系の物語が今後もあるのか分かりませんけれども…… いつか、魔導大戦が終わった後にでも、クラーケンベールとちゃあがちょっとだけでも再会して「「あのときのストラップ!」」って見せ合いっこして欲しいなって思います。
 今回はこれにて。