小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

お酒

 お客様がいらしたので、お酒について少々。ただ、気がつくとお気に入りのウオッカを半瓶あけていたという恐ろしい20代前半は遠の昔に過ぎ去ってしまい、今はカウンターのある場所だと「ウオッカライム、ライムちょっと多め」をちょっくりちょっくりと楽しむ程度です。家ではあまりもう飲まなくなりました。車で移動する生活でもあり、出先でお酒は厳禁ですしね。いまの居所に移ってからは、お店の良し悪しなども分かりませんし、なんとなくかったる〜ぃ生活を送っているので繁華街まで飲みに出ることもありませんし。車関係のミーティングだとお酒はこれまた厳禁ですし。ということで酒離れした生活になってしまいましたが、お酒について思うこともまた少なくありません。おいしそうなお料理の話などをTVで見ると「嗚呼、あれにはこういうお酒があうだろう」とか考えたりもします。
 また、開高先生の著作はお酒と切っても切れませんから、それを目にする度に「ああ、このお酒をちょっとでも味わうことができたらいいのにね」と文庫本片手にぼ〜っとしたりもします。というわけでいくつかのジャンルに分けて書いてみました。

★ワイン・食のよき友
 私のお酒の原点でもあります。亡くなった両親のうち特に父親が酒もタバコもよくたしなみ、色々と目新しいものに目がないこともあって、一緒にワインを飲んだり、中華料理店で紹興酒や老酒などをなめさせてもらったりということが多々ありました。そして、講談社の世界の名酒辞典:amazon:406210489Xも本棚にありました。図鑑や百科事典の類の好きな私は、この本も広げてあれやこれやと美しいラベルやボトルに見入ったものです。今でもワインはやはり一番のお気に入りであり、すばらしい料理の友であり、多少お高いものも、リーズナブルなものも、ぶっちゃけ「バカワイン」と私が呼ぶジャンクフード的な箱入りワインも皆同じように好きです。自分の中でお酒というものが、ただただイッキ飲みに見られるような、イベントを盛り上げるグッズのようなものとならなかったのは、ああやって父がちびちび色々と経験を積ませてくれたせいだなと思っています。

 残念ながら、最近は上記に書いた理由もあり、また郷里でよく利用していた輸入酒店から遠ざかってしまったこともあってワインはずっとご無沙汰です。そんなわけでかすかな記憶を頼りにちょこちょこと。
 フランスのワインはあまり好きではありません。赤は特に重いイメージがあり、白でも印象に残るモノはありませんでした。最近、郷里の輸入酒屋に行ってないのでなおのこと分からないのですが、やはりどっしりとした料理がないとこの国のワインは、と思います。ただ、ローカルというかリーズナブルなものから下のものになると結構いろいろと楽しめました。でもこれはどの国のワインでも同じかな? 貴腐ワインというものもありますが・・・何度か飲んだ経験がありますが、一度ハズレを引いてからはあまり飲む機会もなく、ずっとご無沙汰になってますね。マンズワインの頒布会のおまけについてきたのはなかなか良かったのですが・・・。あれはちょっぴりなめるていどのものだナと思います。
 カルフォルニアワインは口当たりがよく、軽食なんかにも合いますね。私の好きなブランドがあるのですが失念してしまって今は思い出せません。店頭にいけば「あれだっ!」ってすぐ分かるのですけれども。味が軽いので大瓶を買ってきてみんなでワイワイバーベキューをしたりなんて時にオススメです。個人的にはモスバーガーと一緒に飲みたいワインですね。ちょっと前に色々と入ってきた南米産のワインもカルフォルニア系に近い感じだったと記憶しています。ただ、あまり数を飲んでいないのでよく分かりません。
 スペインのワインでシグロという麻布に包まれたワイン(赤・白・ローゼ)がありますが、これもお気に入りです。ハーフ瓶もあるので気軽に飲みたいときに重宝しますね。重くもなく軽くもないという食事にぴったりというワインだと思います。値段もお手頃で、どこが代理店をしているかは分かりませんが、比較的よく見かけるものだと思いますね。
 最後にドイツワイン。私の中では一番心に強く残っています。確かに甘みがやや強く、食事の内容によっては向かないものもありますが、これまた軽食をつつきながらワインをメインに楽しむにはもってこい。そして、今までの人生の中で唯一「飲むほどにさわやかになり、酔いに心身をぐらつかされることなく、酒の楽しみを十分に味わえる」というのを感じることができたのが「シュタインベルガー」。とはいえ、シュタインベルガーといってもピンキリでございまして、私が飲んだのは3000円程度の中の下あたりのものでしたが。そっから上のクラスとなるとノーミソが天上世界に逝ってしまうのでしょうか(笑) 嗚呼、逝ってみたいものでございます。

ウオッカ・夜半過ぎの友
 サントリーの「樹氷」や宝の「純」をよく飲んでいたのが20歳頃。大阪で学校に通っていたのですが、学校が忙しく、クラスで一人住宅公社の寮生活だったものであまり友達も出来ず、駅から寮の間にショッピングモールがあってしっかり酒屋もあって、チビチビとニュースステーションをみながら一人酒という大変危なっかしい生活を送ってました。なぜジンに走らなかったのだろうと思うと、やはりジン特有の香りが私には会わなかったせいでしょうね。だから今でもジンベースのカクテルは苦手というか手を出しません。妙なところで頑固な私ですので、どうしてもカウンターに腰掛けると自然と「ウオッカライム、ライム多めで」というのが勝手に口からでてしまうという感じですね。

 ウオッカのいいところと言えば、ワインとは逆のところでしょう。冷徹、透明、無表情。口の中をチリチリとさせる感触。そのストイシズムみたいなものにあこがれているのかなと思います。銘柄でいえば一番のお気に入りはフィンランディア。一番整っているなと思います。それにしても、ウオッカライムのライムですが、ちゃんと生ライムを搾ってくれるお店もありますが、明治屋のライムシロップみたいなのをちょいっとかけるだけの店もあって、それに当たるとちょっと不機嫌。ウオッカのストイシズムをほんの少しだけ和らげるだけの存在だと思っているので、あれはちょっといただけないよネと思います。

ウイスキー・遠い友
 開高先生がCMをされていたサントリーの「山崎」そして同じサントリーの「白州」。母がまだ元気だった頃、よくこれの小さい瓶を買って二人でちびりと飲んだりしたことがありました。二つとも特にクセがなく、ことに「白州」は優しく、ウイスキーが苦手な私でも「また飲みたいな」と思ってしまういいものだと思います。ウイスキーもまたワインと同じように様々な風味と歴史を背負っているものですが、口の中でワインとは異なるハーモニーのようなものがあり、それがまだ若輩の私には読み解けず、今でもやはりあまり手を出さないお酒になっています。とはいえ、嫌いでもなく、叔父と久方ぶりに出会ってちょっといい場所でおごって貰った時に、リストにマッカランを見つけ、心の中で「ぅおっしゃあぁあ!」と叫びつつ楽しんだこともまた思い出の一つ。何しろ味わった種類が少ないこともあり、これからもまた出会う機会もそうそうないことから、再びマッカランやメイカーズマークなどを楽しむ機会はないだろうなぁとこれまた頬杖ついていたりしています。
★ビールとチューハイ・気軽な友
 ということで、家で飲むことがあるとすればビール程度。しかも発泡酒。ただ、私は父と同じくキリン派だったりするので、「淡麗」とかだったりします。エビスも好きですが、エビスじゃなきゃダメっていうのはないですね。カウンターバーだと、ウオッカライムに入る前の「座った時の一杯」に瓶ギネスを頼んだりすることもあります。個人的には個性的な味というか、アルコール度数の高めで味わいが深いビールの方が好きですね。ヨーロッパ系のビールでしょう。スイスに行ったときによく飲んだビールの缶が今、筆立てになって転がってますが、食事と一緒に飲んでも負けない個性的なビールでしたね。最近よく見かけるようになった、生きた酵母が入っているビールは飲んだことがありません。なんか独特の風味があるというのは聞いていますが、なにぶんお高めですし(笑)

 チューハイ缶は色々でていますが、やはり一過性のものというか、飲み飽きちゃうっていうのはあります。ジュースみたいなものですから。とはいえ安いですからついつい買ってしまったりしますけど。

★中国のお酒・過ぎ去った友
 本当に小さなガラスのグラスにザラメをすこし、その中にあたためた紹興酒。最初に飲んだときは不思議な味でした。ザラメのふわんとした香りとお酒の味。ただ、それは父とともに過ごした短い間にほんの数度あったことなので、今味わうとまた違った感じを抱くかもしれません。いつかスパーンと札束を財布につっこんで、ドッヒャーっていう中華料理を横浜とか神戸で味わいたいもんだなぁとは思っていますが、多分無理でしょう(笑)

 桂花陳酒は知り合いから教えて貰ったお酒ですね。オンザロックで飲んでいました。ちょっと甘くてベタッとしますが、オンザロックだとそれほど気になりません。とにかくいい香りが好きでした。もうかなり長い間飲んでいません。その知り合いと疎遠になってしまったのもありますし、歳を取って好みが変わっていったせいもあるでしょう。

 大体こんなものでしょうか。やはり私の中ではお酒を飲むというのはまず「食ありき」であって、お酒単体というのは今はあまり考えには入っていません。たとえウオッカを飲むにしても、何らかのものをつまんだりしています。それか1杯程度だけしか飲まず、のんびり知人たちとしゃべりを楽しんだりとか。
 そんなわけで、こちらの居所のあたりにどこかいいカウンターバーがあればいいのにと思いつつ、バスが早く終わっちゃうしなぁと旦那と笑ったりして結局探索はお流れって感じですね。ハイ。