小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

:人の多様性

 「人力検索はてな」で「以前犯罪を行ったことのあるタレントがテレビ等に復帰する(した)ことについてどう思いますか?」という質問があったので、ちょっと文章を書いてみました。人の多様性(回答文では多様化になっていますが、多様性の方が本来ふさわしい単語だったと反省しています)の現れとして、犯罪を犯す者がおり、また、道徳的に善しとされる行いをする者もいると思うんですよね。
 何故人には個性があり、均一ではないかという点については、個人的には「カタストロフ」によって一気に崩壊絶滅することを防ぐためだろうと思うのです。均一になってしまえば、進化することは難しくなり、それは人類文明終了を意味するのでは、と。様々な素質を持つ人が居るからこそ、人類文明は未だに進んでいると思うのです……その方向について良いか悪いかは別として。

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 <回答>
  日本は法治国家です。 法律があり、それによって、犯罪を犯して捕まれば、裁判があり、刑が決まればそれに従わねばならないシステムがあります。
 法的に言えば「罰金を支払ったり、刑を終われば」社会に復帰できるのです。法治国家である以上、そのルールは守られなければならないのです。
 それ以降のことは、社会的制裁がどうかの問題になるでしょう。
 社会的制裁には色々あるでしょう。就職が困難になったり、元々住んでいた場所に住めなくなったり、家族がそしりを受けたりする等。
 それによってへこんでしまう人もいれば、意に介さない人もいるでしょう。再犯を犯してしまう人もいるでしょう。
 それらは、人の多様化のひとつの現れであると思っています。
 タレントや有名人が犯罪を犯した後、法的処理が終わった後どうするかは、その人や、所属事務所の方針にゆだねられています。そのまま引退する人もいるでしょうし、事務所が「まだ使える」というのなら冷却期間を置いて復帰させることもあるでしょう。
 何しろ、ビジネスの問題ですから。その人が復帰し、視聴率を稼ぐなり、その人の再登場を求めている視聴者なりがいるのであれば、事務所としては金になる人をバッサリ斬り捨てるかどうか悩むところだと思います。
 事務所としては、視聴者等の声と、ビジネスとしての金勘定、それらとコンプライアンスを天秤にかけて考えると思います。その結果、TV等に復帰したとしても、一部の人は嫌な印象を持ち続けるでしょうが、多くの視聴者は復帰を待っていたのだと受け止めるほかありません。
 「犯罪そのものを起こす事に問題があると思います。」と質問の中でお書きになってらっしゃいますが、犯罪のない世界は到底無理です。それが現実であり、人の多様化の現れの一つなのです。
 何故犯罪を犯すのか……これは昔から議論されてきたことでしょう。金欲しさ、憎悪、闘争…… 人のこころというものが、自由であるがゆえに、道徳的なことも、非道徳的なことも行えるフレキシビリティがあるがゆえに、この世の中には、犯罪もあれば、愛にあふれた行いもあるのです。
 一部の犯罪者について「ファン」とも呼べる人が居るというのも、昔から聞くことです。プリズングルーピーと言われる人達ですね。
 テッド・バンディ - Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3 
 この人を始めとして、多くの事例があります。理由については、「それもまた、人の多様化の現れ」としかいいようがないと個人的に思います。ただ、それらのプリズングルピーの対象となる受刑者達は、特定の人を惹きつける何かがあるのかもとも思います。
 市橋被告についてネットで検索すると「イケメンだから」とかいう理由があがっています。地下鉄サリン事件で有名になった、当時のオウム真理教で広報責任者だった上祐氏も「上祐ギャル」と呼ばれるグルーピーが出ています。これもまた、彼らにとって、上祐氏の弁舌や外見に惹かれるものがあったからなのでしょう。
 そう言うわけで、人の世の中は複雑であり、一つの物差しでは測ることはできないとこの歳になって思います。無論、平和な世界を望む気持ちはありますが、100人が全員100%納得できる意見がないのと同じように、100%の平和も夢想のものだと思うのです。