小料理屋さつき

かつて「はてなダイアリー」にあった「小料理屋さつき」をインポートしたもの+細々と。

彼らの後ろには

 両親共に昭和ヒトケタ生まれで、でも戦前から戦後にかけてどうだったか語ることなく両親は亡くなってしまった。
 その代わりに、毎日新聞社刊の「一億人の昭和史」シリーズの内の戦中~戦後の巻が置いてあったのかなと思う。
 2022年の今は、当人が語らなくてもSNS等であちこちで撮影された画像や動画が流れる。もう十分だ、見たくないという程のデータが流れている。
 
 今はどうしてもウクライナ侵攻の報道が良く流れるが、戦争から内紛、弾圧で住み慣れた場所を追われた市民は世界のあちこちにいる。
 そしてそんな状況にある子供達へのインタビューで「将来どんな職業に?」という質問に「医師や弁護士に」という回答があったりする。
 そう答える子供達の背後に第二次大戦やそれ以前の大きな戦争で若くして亡くなった兵士達のカゲロウが見えたりする。
 
 「一億人の昭和史」に、雨の中を行進する大学生達の写真が載ったページがある。 
 彼らが戦地へ行かなければ彼らはどういう未来を歩んでいただろう。
 彼らだけでなく、古今東西あちこちの戦場で斃れた若者……若者だけでなく老若男女がもし無事であったならば。
 
 今後も、未来も、戦争は起きるだろう。
 そして夢半ばにして斃れる人々は今後もいるだろう。
 
 歴史は、そういった人々の血と肉が染みこんだ土の上で積み重なってきたのだ。未来の歴史も同じようにして築かれるだろうと自分は想像する。
 自分はそれを忘れたくないし、折節こういう風に語っていきたいと思う。